綴る人。

日々の感情を綴る。

不自由に笑う。

妻の料理の手伝いで手を負傷してしまった。大根サラダを作る際に、誤って自分の指を削った。

「自分の指まで削がないように」と釘を押されて5秒後の出来事であった。何とも情けない。

生来の短気が影響してか、ぶつけようのない痛みに対する怒りがむくむくと擡げてくる。が、悪いのは妻の忠告を話半分で片付けて横着を働いた自分自身である。絆創膏を探す手(指)は、これ以上の損害を被るのは御免とばかりに極慎重に救急箱を探索する。

ない。どこにも絆創膏が見当たらない。思い返せば、数か月前にも同じような負傷をした後に使用したのが最後の一つであり、これまた横着を働いて購入していなかった。

不自由が更なる不自由を招く。考えあぐねた結果、サランラップを負傷部に巻き付けることを思いつく。やってみる。思いのほか不自由さが分散していくような感覚になる。

「もう大丈夫になった!」と報告する。しばらくキッチンの周囲をモジモジしながら立っていると、「ハウス!!」と妻の声。急いでハウス(リビング)に戻る。

忍者犬はハウスに戻り、すかさず「本当にかたじけないっ!!」と奉る。

 

妻は笑う。忍者犬ははにかむ。

負傷の原因となった大根サラダも美味く感じる。笑いがあれば、味覚も変化するようである。