綴る人。

日々の感情を綴る。

自分さえよければそれでいいのか。

トイレットペーパーやマスクの買い占めが相次ぐ。これでは本当に必要としている人々に行き渡らない。

ニュースでは、公共施設でのトイレットペーパー盗難に関する報道もちらほら出始めている。

今回のトイレットペーパー買い占め騒動を報道で見る度に、何かの既視感に囚われる。数回見ているうちになるほど合点がいった。「オイルショック」の影響で気が狂ったようにスーパーに駆け込んで、我先にトイレットペーパーを買い物かごにつめこんでいる客たちの姿である。現在では買い占めている人々の姿こそ撮影されてはいないが、きっと同じような光景だろう。実に滑稽な姿だろうとは容易に想像できる。

時代が進むにつれ、格差社会とは言われながらも、人々は豊かになっていると聞いて久しい。では、この一件でそれは間違いだったのかと疑問が浮かぶ。否、確かに人々は豊かになったと思う。「経済的」という限定された範囲の中ではあるが。

根本的な考え方は、恐らく一向に変わらないのである。元来人間は自己中心的、利己主義である。今回の騒動は全国的な影響を受けているために際立っているが、これに似たような騒ぎは実際、被害の規模等を度外視すると枚挙に暇がない。自分さえよければそれでいいのである。自分さえ豊かであれば、それでいいのである。

近くでトイレットペーパーを引っ張る音が、長い時間聞かれる。カラカラ、カラカラ、カラカラ。買い占めに成功した人が、自分の身の安全を確保できて安心したのか、普段よりも多くの量を使用しているような長い音が響く。それが耳鳴りかどうかはわからない。しかし、とても醜い音であることは間違いないだろう。