臭末のラグナロク ~邂逅~
これは、とある男ととある生命体の、因縁の物語である。
一番記憶に新しいのは二年程昔ではなかろうか。いや、本当はもっと以前から合間見えているはずであるが、特に印象に残っているのがその日である。
車に乗って帰宅していた時。早い段階から異変(異臭の方が適切かもしれない)を感じていたのは事実である。それは右足であった。
無論、自動車を運転する際に右足は非常に重要な役割を果たしている。操作を誤れば大事故に繋がる。その右足に、何かが付着しており、あまつさえ蠢いているのである。私はその違和感に明らかに動揺していた。次に停車した際にその付着物を確かめる決意をした。
そしてその時、来るべきラグナロクに、右足の脹ら脛に向けて双眸を限界ギリギリまで凝らした。
終末の気配を漂わせながら、彼が付着していたのである。危険を察知すると自ら異臭を放つと言われている、あの緑色の生命体である。
私は恐怖に支配され、車内で慟哭した。
これが、私と彼との悲劇的な出逢いであった。
次章につづく