シリーズ:ジンカン(3)
偉人の言葉で印象深い一言がある。
ジグムント・フロイト。心理学、精神病理の父と言われたその人は、かの有名なアルベルト・アインシュタインとの往復書簡で、こう述べている。
法とは、連帯した人間たちの力、共同体の力に他ならない。
つまり、法律というような人間の知性に満ち満ちたようなものであっても、その実は多数派の人間が振りかざす力、すなわち暴力であるということを述べているのである。
一見飛躍したような理論のようだが、これは民主主義国家に対して正鵠を射るといっても過言ではないと私は考えるのである。
私は現在の民主主義というものに異論があるわけではない。そもそも民主主義国家というものは、多数決の原理に基づく運営システムであって、この考え方が揺らぐこと=国の根幹が瓦解しかねないという程重要なファクターであるとも言える。
しかし、つまるところこの考え方は多数の力を元手にした他の勢力を淘汰するための力には違いないと私は思う。
秩序ある世界に見えるこの法治国家の国であっても、法律というものも暴力に対抗するための武装であるということは忘れてはならないのである。